感情の縦糸 -2013年を振り返って-

怒る、ということは、全くなしにはできない。我々が生きていく中で、怒るということがなくなれば、きっとものごとを表現する意義もかなり薄れるのではないか。しかしどんなものも過ぎたるは猶及ばざるが如し。特に怒ることというのはなかなかに刺激の強い薬だ。
思えば今年の特に前半、色々なことでイライラしたり、怒ったりすることが多かったように思える。自分が置かれている環境も、人の悪口や噂話が飛び交いやすい場所なので、それも影響していたのだろう。幸い十分にガス抜きできる趣味は有していたので、支障をきたすことはなかったが、あまりよくない状態が続いていたのも事実だ。
しかし今年の十一月、自分だけではなく他の人にとっても転機となるひとつの事に着手してから、少しずつ自分の考え方を変える機会に恵まれた。何気ない一つを助けたり、手伝ったり、そのようなことをしているうちにある時からどうしても相容れなくなっていた人を許せるのではないだろうかという気持ちが起こった。実は以前はとんでもない勢いで仲が良い人だった。それだけに、失望した時の落差も半端ではなかったのだろう。
結果は、できた。会話にまたバカみたいな冗談をまじえながら、前のように。ついでに忙しい時に少し衝突した人に対しても同じようになれた。何か、少しだけ大人になれたような、強くなれたような気がした。今まで足りなかった縦糸がすっと入り込んできたような感覚。別に自分の中で怒りが霧散したわけではない。それでもなお、オープンでいられるきっかけのようなものを今年は掴んだ。ほんの一ヶ月前のことだ。
来年は更にオープンに、ぶれずに生きていきたい。

2013年の初挑戦

今年は、ついに包丁を買ってしまった。釣りをするので、以前から出刃包丁を買い、砥ぎの技術も習得したいと目論んでいたが、ついに実現した。手始めに135mmの小出刃を買い、その次に大物用に180mmの出刃を買った。師匠などいないので、ネットなどを参考にじっくりと刃物と向き合った結果、なんとか砥げるようになった。実は鋭くするだけならそれほど難しくはない。砥ぎが難しく、面白くなるのは自分の用途に合わせた砥ぎができるようになることだ。
なんて思っているうちに、今度は本格的に刺身が引きたくなり(出刃で作るのは少々きつい)、ついに240mmの柳刃包丁まで買った。それも白三鋼。今までの包丁とは何だったのかと思うような異次元の切れ味……間違って刃に触れた日には皮に綺麗に線が入ってしまうほど。しかも鋭すぎて傷に気付かない。平造り、そぎ造り、イカ刺しなどを練習中。
それから、偏光グラスを買った。もちろん釣り用途ではあるが、運転にも期待してのことだ。レンズはタレックス。たまたま近くに取り扱いしているショップがあったので、色々時間をかけてトゥルービュースポーツを度入りで作ってもらった。なぜもっと早く作らなかったのだろう。端的に言えば、対向車のフロントガラスがないように見えてしまう。それぐらい余分な反射光を取り除いているということだ。吹雪でも通常なら霞んでいる前方車も、偏光グラスで見るとくっきり。釣りよりも運転の方に使ってしまいそうだが、水面を見ないことには始まらない。来年はまず昼間の釣りからだ。

2013年の読書

昨年以上に捗らなかった。それでも決して日課から外すようなことはしなかった。自分にとって文学世界に触れることはなくてはならないことなので。その中でひときわ輝いていた本が、フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』だ。本当に揺さぶられるような読書体験だった。マルケスが影響を受けるのも頷けるというものだ。
それから今年は更に色々な国の文学作品を読んだ。エルサルバドルウルグアイコンゴ、ナイジェリア、トルコ、イラン……それぞれの地域の特色もあり、普遍的なものもあり、非常に興味深い旅となった。特にアフリカは意味のわからないパワーにあふれていて、他の地域とはまた違った趣があった。来年もラテンアメリカを軸に様々な地域の文学作品に触れていきたい。

2013年の音楽

Herbie Hancockに見事にハマった。今年始めに『Head Hunters』を買ったのをきっかけに、そのファンク色に一気に染め上げられた。最初にこれを聞いた人は、ジャズピアニストだなんて思わないのではないか。『Rock it』あたりから入った人はもっとそう思うだろう。でもモードジャズの演奏なんかを聞いてみても、根底にはやはり骨太で、強烈なリズムに対するこだわりを感じるので、本人からしたら別に大した変化ではないのかもしれない。彼のリズム、音色のセンス、どれも強烈に自分の体にぶつかってくる。耳よりも体幹が欲する音楽。
それからもう一つ、バッハのオルガン曲に惚れ込んだ。『幻想曲とフーガ(BWV542)』『主よ、我は汝の名を呼ぶ(BWV639)』あたりが好きだったのだが、ついにマリー・クレール・アラン女史のオルガン全曲集(全266曲)を購入。そこからはもうマッハでバッハである。

2013年の楽器

よく楽器は階段状に上達する、なんて言われたりもする。実際そういうことも多い。実は今年、フルートは何ヶ月かやっていなかった。どうも音が安定しないし、3オクターブ目が辛いのと、明らかに力が入っているのがわかるのに、打開策を見いだせなかったからだ。ところがある時再開したところ、3オクターブ目が楽に出る。力も抜けている、それを維持もできてきている。それに気分を良くして毎日きっちり基礎練習をするようにしたら、楽しくて楽しくて、とにかく響かせることと、自分が苦手なことの克服をテーマに日々練習を続けるようになった。
曲はバッハの『主よ、我は汝の名を呼ぶ(BWV639)』を新しく練習している。オルガン曲を一度に全部演奏するのはフルートでは無理なので、パートに分けてではあるが、特に内声部は運指の練習に非常に良い効果が出ている。

2013年の釣り

正直なところ、マス類は管釣り以外さっぱり。そもそも釣りに行っていないのもいる。エギもほとんどやらず、もっぱらロックフィッシュ。前半は数が出なかったが、後半はようやく思い通りに釣りができてきたように思う。今年からベイトタックルを導入したので、不慣れからくる時間のロストや効率の悪さもあったと思う。しかし後半は大分盛り返してきたので、これからも使っていこうと思う。バックラッシュ以外はベイトのほうが圧倒的に楽。今年はあれを釣るぞと意気込んだら釣れたことが多かった。釣り分けできるということは、生態を理解してきているということでもある。メインのソイは、調子が悪い時でもサイズだけはそれなりに出たので満足。来年はどれだけ行けるだろうか、見通しはまだ立たないがサクラマスをきっちりと釣りたい……。

そうそう、このブログをもうちょいマメに更新するようにもしないとね。