回帰

先日、高橋葉介『夢幻紳士 回帰篇』と中村光聖☆おにいさん』4巻が届いた。
自分が高橋葉介作品を読み始めたのは、迷宮篇が発売してしばらく経った頃だったので、リアルタイムで買う夢幻紳士はこれが初めて。コミックの値段としてはかなり高いけれど、ハヤカワと葉介先生なら許せる。
今回は怪奇篇のセルフリメイク。怪奇篇では「幽霊船」に始まり「蝙蝠」に終わっていたけど、回帰篇では「蝙蝠」に始まり「幽霊船」に終わっている。まさに回帰。
絵柄は当時からかなり変わっているけど、話の内容は思ったよりいじっていない。しかし「吸血鬼」なんかは、当時の肉体派の魔実也とは違う、幻想的な魔実也の解決の仕方だったように思う。怪奇だと女の子に直にキスをして「失礼。あなたがあまりお姉さんに似ておられたものですから」と言った直後に「鬼!」と言われている。
「幽霊船」なんかは大胆に変えてきたなと思った。より後味の悪い終わり方になったかなとも思ったんだけど、生きることを選んでも地獄……ならばという思いもした。
「花火」は鈴木清順監督の『ツィゴイネルワイゼン』に影響を受けて作られた話。おかげで自分も映画を観てしまった。かなり好きな話のひとつ。
読んでいて感心したのは「木精(すだま)」、扉をのぞいたページ数が、怪奇が23ページで、回帰だとそれがなんと15ページ。それでいて大まかな内容は全然変わっていない。この辺に熟練した技を感じてしまった。
怪奇篇を読んだことがない人でも、新作と同じように楽しめると思う。読んだあとに怪奇篇も読んでみるのもいいだろうし。
聖☆おにいさん』は今回はよかった。自分はイエスが迫害って言葉を出すだけで笑ってしまう人間なので、にやけが止まらなかった。イエスのお父さんがことのほか出てきてよかった。メガテンではこr(ry
蛇とかリンゴとかうまく使ってるなあと思った。しかし素材的に限りがあるものだから、あるうちに有効活用していって欲しい。

夢幻紳士 回帰篇

夢幻紳士 回帰篇

聖☆おにいさん(4) (モーニング KC)

聖☆おにいさん(4) (モーニング KC)