2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

安部公房『死に急ぐ鯨たち』

安部公房のエッセイや対談を集めたものだが、主に扱っている内容が儀式、言語、国家、DNA、作品の在り方、他の表現方法についてなどで非常に濃い。ましてや分析狂の安部公房だ、おとなしく済むはずがない。 安部公房がオリンピックに対して嫌悪感を持ってい…

岡本綺堂『鎧櫃の血』

三浦老人による昔話という形式をとった短編集。怪談色は薄くなっており、まともに幽霊と呼べるものは「置いてけ堀」くらいじゃなかろうか。もちろん非現実的な事件も数多くある。 岡本綺堂は、明治5年の生まれだ。彼の生まれた環境には、間違いなく江戸の名…

新潮日本文学アルバム 安部公房

安部公房という作家が何を見ようとし、追い求めてきたか、その足跡を写真つきで辿っている本。 特に安部公房の文学活動の時代区分を「故郷喪失」「生きている無機物」「他者への通路」「悪夢としての都市」の四つに分類しているのはなかなか面白いし、よくま…

ロラン・バルト『物語の構造分析』

かれこれ四年ほど興味があって、今回ようやく読んだ。タイトルを見て興味を惹かれる人は結構多いように思うのだが、言語学や哲学、構造主義の基本を知っていないと、自分みたいに頭に疑問符が沢山浮かぶことになるかもしれない。 メインである『物語の構造分…