2013-01-01から1年間の記事一覧

感情の縦糸 -2013年を振り返って-

怒る、ということは、全くなしにはできない。我々が生きていく中で、怒るということがなくなれば、きっとものごとを表現する意義もかなり薄れるのではないか。しかしどんなものも過ぎたるは猶及ばざるが如し。特に怒ることというのはなかなかに刺激の強い薬…

お前はうちの子ではない橋の下から拾って来た子だ

「あんたはね、豊平川の橋の下で拾ったんだよ」叔母に何度となく言われた言葉だ。本気になどしなかったし、冗談だとわかっていたので笑い話だ。 その後大人になってから、お前は橋の下で拾ったというこの言い回しが、実は全国で存在しているということを知っ…

真・女神転生4のクリア後の感想

2013年5月23日、ついに待望の女神転生シリーズの最新作が発売された。メガテンシリーズはハードごと買うというのがメガテニストの鉄の掟。ならば買おう、と意気込んでいたところに、本体同梱版も発売されるとの報。買いましょう。 待ちに待った女神転生。し…

フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』

私達が小説を読む時、私がそうしたこうした、何年後にどうしたこうしたと、筋道をたてて、歴史を追うように話が展開していく。一つの町と、そこに住むある男についての話だとすれば、壮大な時間の進行とともに、男の軌跡が語られていくかもしれない。それを…

アンドレイ・タルコフスキー『惑星ソラリス』

ハリー「私は女として言うのです」 サルトリウス「君は女ではない。それ以前に人間ではない。まだわからんのか。ハリーはいない、死んだのだ。君は彼女のコピーなんだ。物理的なコピーにすぎないのさ」 ハリー「ええ、そうかもしれません。でも私は……人間に…

Rosbeg / ソニー・ラブ=タンシ『一つ半の生命』

最近はFlookのRubai収録のRosbegをF管ホイッスルで練習している。動画はフルートだけど、非常に暖かみがあって好きな曲だ。非常に簡単そうに聞こえるが、シンコペーションの多用でややリズムが取りにくくなっている。とはいえそこまで難しいわけでもない。吹…

ナーズム・ヒクメット『フェルハドとシリン』

トルコの詩人による戯曲である。トルコの文学もまた、日本人にはなじみの薄いものかもしれない。自分も初めて読む。トルコといえば自分にとって、旋舞(セマー)を行うメヴレヴィー教団が真っ先に想起される。セマーは自分に強烈なインスピレーションを与え…

アイリッシュ再考

ホイッスルを注文した。今回はBb管とA管。やはりこの音域と、F管あたりが一番自分に合っている。人間の声に近いせいもあるのだと思うが、息のコントロールがつけやすいのもあるだろう。勝手に師とあおいでいるBrian Finneganも、A管やF管はよく使っている。F…

オラシオ・カステジャーノス・モヤ『無分別』

エルサルバドル文学だ。最近知った作家ではあるが、来日経験があり、更に安部公房と大江健三郎の研究も行なっていたという、必然的な出会い。とはいえ新進気鋭というわけでもなく、それでも次世代を担う作家なのは間違いない。文学の成熟は時間がかかるのを…

時計を合わせる

最後に記事を書いた時、読書メーターがあるなら、ここに書かなくてもよいのでは? という問いが頭をよぎった。一冊読んだ、書かない、一冊読んだ、書かない、もう習慣。Twitterもそれを加速させていた。 しかし、実生活がそれらを吹き飛ばすほど色濃く、良い…