崖の上のポニョ

崖の上のポニョ』をようやく見た。賛否両論あると聞いていたからどんなものかと思っていたけど、面白いじゃない。宮崎駿もこういうのが作りたくなったんだなーと思った。
意味が分からないという声も結構聞くんだけど、そういう風に作られているから当然だと思う。神話的なある実態を作り出したのではないかと。それぞれにモチーフになったものはあるかもしれないが、それ抜きに純粋に楽しんで欲しいという意図も感じた。非常にメタファを感じずにはいられない部分もあるにはあるけど。
考察のページも見たけど、本当に作品を楽しんでいるなと思った。こじつけだと思う部分も多いけど、その人がそう感じたのであればそれでいいと思うし、また見たい、未見だけど見たくなった、と感じられればそれはとてもいいことだと思う。そういった世界を作り出せるというのは、すごいことだからね。
見ていて面白かったのは、水の造形がとても印象的だった。明らかに大げさな動きだったりして、何かやはり神話めいたものを強烈に感じた。あとは微妙に歪んだ背景の線とか。キャラクターが不思議なことを不思議なことと認識してないあたりも、マルケスの『百年の孤独』なんかを思い出した。
ハウルはいまいちに思っていたのだけど、これは良かったな。こういう方向性で行くのなら歓迎したい。また見たいという力が強くはたらいた作品だった。その時にはきっと、また違う感想が出てくることと思う。
非常にどうでもいいことだけれど、フジモトが使うあの海面が盛り上がったような生き物を見て、諸星大二郎ファンなら視肉を想像するのではないか……!
ちなみに、クトゥルーはあまりわからない。ラヴクラフト全集、そろそろ買わないと。