諸星大二郎『マッドメン』
諸星大二郎『マッドメン』を読了した。ニューギニアを主な舞台にして、聖書や日本神話までも絡めた、実に諸星先生らしい作品。
少し神話をかじっていれば、そもそも冒頭の歌を見た時点で、国生みだとか、創世記だとかノアの方舟だとかわかるのだけど、わかりやすくてなんだかなあと思っていた。しかしその神話をなぞるように展開する物語を読み進めるにつれ、夢中になって読んでいた。呪的逃走なんかは特に面白かった。そういえばイザナギも黄泉国で桃を投げていたなと。
今回は文化人類学の要素が非常に強く、この手の学問が好きな人には垂涎ものだろうというのは、容易に想像がついた。また、比較神話学的な話もよくでていて、まさに諸星ワールド全開といったところ。
フル武装したコドワがすごくかっこよく見えて、鎧なんかとはまた違った魅力を感じた。しかしなんといってもお気に入りはン・バギですよ。語感もさることながら、恐竜という見た目もインパクトが強い。『孔子暗黒伝』にも中国で恐竜が出てきていたけど、場違いな恐竜というのはインパクトが強い。メガテンあたりに欲しい。
マオリさん、しっかり生き残ってていい味だしてたな……。
他におまけで短編が収められているのだけど、モロ先生の短編はユーモア全開で面白い。砂漠で遭難した人の前に鯖の缶詰が出現したり……。マッドメンの作風に合わせたってことで、サン族の話があったのもよかったな。
しかし資料とかを参照するの大変だったろうなと、どの作品を見ても思う。この濃度の濃さは半端ではない。
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社クリエイティブ
- 発売日: 2006/07/14
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