不思議の国のアリス

ルイス・キャロル不思議の国のアリス』読了。年内はまとめだけ(キリッ とか言いながら、ぎりぎりで読了できたので書いておくことにした。
もはや説明などいらないぐらいに有名な話だけど、ディズニーのですら見ていない自分は何でそこまで読みたくなったかというと、安部公房『S・カルマ氏の犯罪』を読んでから。安部公房自身、『不思議の国のアリス』からの影響を公言していたからだ。
兎穴から不思議な世界に落っこちたアリスが、大きくなったり小さくなったりしながら、様々なキャラと出会うのだけど、もう会話から展開から、荒唐無稽と言う他はない。会話は微妙にぶっとんでるし、キャラの行動も、普通の理性で考えれば何やってるんだというものばかり。
近いといえば、夢の世界がイメージしやすいかもしれない。でもこういう荒唐無稽さというのは、適当にやれば出てくるというものでもない……。安部公房の世界観も、これに大いに似たところがあるから、読んでみるとなるほど影響を受けたというのもうなずける。
それから、訳者のセンスもなかなかよかった。文化・言語的に理解し難いであろう部分は、日本視点での翻訳をしている。ボキャブラリーの豊富さが伺えて有意義だった。
好きなキャラはなんだろう、ウカレウサギかな。読んでいていつ、イカレウサギとか言われるかとはらはらしていた。チェシャ猫は有名だね。
これを読んで面白いと思った人は、『S・カルマ氏の犯罪』を読むといいかもしれないし、自分のように逆の場合もおすすめ。ページ数も少なく、文章も読みやすいかと思う。考えすぎたら負けな、すがすがしいまでの狂った世界!
さっそく『鏡の国のアリス』も注文した。

不思議の国のアリス (新潮文庫)

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