体調崩す

三月は一年の中で最も苦手な月だ。いいことも悪いことも急激な潮の流れのように動く。自分の中ではとにかくイベントの多い月という認識。
今週の初め頃から、喉の調子が悪かった。乾燥のせいだと思っていたのだけど、湿度計を見てもそこまで乾燥してはいなくて、せきも止まらない。なので風邪薬を服用していたのだが、ついに寒気と頭痛、顎の痛みがでた。
昨夜から布団にこもって暖かくしていた。そして今朝になって大分落ち着いた感じはあるので、大した風邪でもないと思う。しかし普段風邪を引かないと、大げさにとらえがちになる。まともに体調を崩したのは一体何年ぶりだろう?
そんな中でも読書はやめない。ちょうどインド哲学カミュといいペースで読み終えてきたので、短めの長編を選んで、さきほど読み終えた。

三島由紀夫潮騒

三島由紀夫潮騒』を読了した。彼の作品は『金閣寺』を読んでいたのだけど、その二年前の作品に関わらず、あまりにも違っていてびっくり。小さな島を舞台にした純愛小説とでも言えばいいのだろうか。これは、ギリシャの『ダフニスとクロエ』という小説を元にしているよう。
金閣寺』で見られるような重厚なものではなく、すごく読みやすい文章表現が目立つ。それでも文章力のすごさは際立っているし、語彙も豊富。
歌島、そこに住む漁師や海女、水の動き、船などの描写がいちいち細かくて、なんとなく性格がわかってさすがだなと思った。
話の構造としてはやはり物足りないと感じる。えぐみのないほのかなエロさとかは、この作品をすごく盛り立ているとは思うのだけど、あまりにも中身がすぽっといいところにおさまりすぎる。また恋敵である安夫が情けなさ過ぎる。これは元の作品がそうだから、というのもあるのだろうか。
非常に読みやすい作品なので、三島由紀夫ときいて踏みとどまっている人は、この作品から読んでみるのもいいかもしれない。清らかすぎるほどの純愛。
そういえば、昔の海女さんは上半身裸で潜ってたんだよなあ……。

潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)